神様には成れない。


カードキーだけを抜き出して、淵くんに渡しに行こうと思ったのだがふと鼻に匂いが付いた。

心配すべきはアルコールが入っている所もあるのではないか。


「食べ過ぎ。とは言ってるけど結構飲んでもいるよね?凄いお酒の臭いするけど」

「んあ?……や、あれは淵がジョッキ丸々シャツに零してるから臭いがするだけで、量はそこまで言う程もなんだよなぁ」

「そうなんだ」


ならば心配すべきはやはり食べ過ぎと、家に帰ろうとしない事か。

佐伯くんと一緒に淵くんが座っているベンチへと戻り始める。


「つって、淵も馬鹿だよなぁ。自分で手を滑らせてばしゃーって」


その時の光景を思い出したのか、ぎゃははと大声を上げる。

量はそれほど飲んでいないと言うのは佐伯くん基準で、やはりそれなりに酔っているのではないだろうか。

反応に困り苦笑いを浮かべてしまう。が、やはり家に彼を帰すべきだろう。


「淵くん」


項垂れた彼の姿に声を掛ける。手に持っていた水を見て見ればこの短期間で飲み干してしまっていた。


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