神様には成れない。
「えぇっと、服、服……」
彼は部屋の中に足を進めて、クローゼットの中を漁っている。
私も当然ながら付いていくしかない。
半ば反射的に部屋の中をキョロキョロと見てしまう。
思えば月乃ちゃんは『制服を適当に脱ぎ散らかしてたから怒った』と言っていたけれど、どうやら彼は男の子らしく雑な所もあるようだ。
服以外にも、大学で使うであろう本も適当に積み重ねられている。
リビングにあたる所は物が少なく、整頓されている印象があるためこの自室には生活感があって逆にホッとする。と言うより何故だかそれを知れて嬉しい、なんて思ってしまう。
などと舞い上がってたのも束の間、
「これでいっか」
クローゼットから服を取り出したかと思えば、徐に服を脱ぎだしたのだ。
「きゃあ!?」
あれだけ離してくれそうになかった手をパッと離された為に、思わず彼の方に視線を向けたのだが、ちょうど半裸の彼の姿が目に飛び込んできて驚きに声を上げる。
見慣れているわけもないその肌に、私は思わず顔を背ける為にしゃがみ込んで頭ごと伏せて目を隠す。
「え、何?」
「なん、なんでっ、ふくっ」
分かっていない淵くんに、少しのパニック状態に陥ってる私。
途切れ途切れに伝えようとした音から、彼は言葉をくみ取ったのか「ああ」と納得を見せた。