神様には成れない。
「だって、酒零して臭いしまだ生乾きだから気持ち悪いし」
だから服を着替えたかったと理由を淡々と述べるのだが、私としてはそんな事よりも、視覚に優しくない情報を与えられた事により脳が混乱を見せる。
「だ、だ、だったら、い、言ってくれれば、外出てた、のにっ」
「そんな事したら瀬戸さん帰っちゃうじゃん」
「かえ、帰らないけどっ?!」
反発するように叫べば、くくっと笑いを堪えた音が聴こえた。
「じゃあ、こうしよう」
「うぅ……?」
聴覚が少しの衣擦れを捉えた。触覚が空気の僅かな動きを感じた。
服を着直してくれたのかと思い、薄く目を開けたのだが違う。まだ肌色が目に映った。
と言うか膝をついてジリジリと迫ってきている。
「なっ?なん……っ~~!」
また目をギュッと閉じようとした手前、その手は此方に伸ばされた。
躰を固めて、彼から視線を逸らしつつ横目では動きを捉えるように神経を張り巡らせてしまう。
手が、私の頬に伸びる。指先が髪に触れる。
「っ――!」
視界がパッと暗んだ。