神様には成れない。
『何もしない』といつも言う言葉とは反対。
その言葉に胡坐を掻いていたつもりなどなかった。だがしかし、私はまだ友達の延長線上に立っていたにすぎなかったのかもしれない。
冷えた心臓が静かに脈打ち始める。
「俺は瀬戸さんが思ってるよりも瀬戸さんの事が好きだよ。……俺は自分が思ってる以上に瀬戸さんが好きなんだよ」
「っ、」
絡まった指に少し力が入り、私の手の甲に爪が立つ。
痛くはないけれど、ちくりと起こったその刺激はまた私の心臓を早める。
言っている事と、やっている事、それぞれがバラバラの事象の事のように思えて、頭が上手く理解してくれない。
それでも
「や、妬きもちやいた、って、こと……?」
抵抗するように、結論を急ぐ。
「……」
けれど、彼は間を持たせる。
一秒、二秒、時間は少しずつでも動いている筈だ。
なのにどうしてこうも、僅かな間が永久のように感じられるのか。
早く何か言ってほしい。いや何も言わなくたっていい。
息をすることすら最小限に留めてしまう空間の中、沈黙は解かれた。
惜しむ様に彼の手が私からゆっくりと離れ、離れがたいようにまた二人の距離が一つ縮む。
「ただの妬きもちなら良かったのにね」
「淵く、んっ!?」
「……――せんか」
力加減を忘れたかのように抱きしめられ、拘束するかのように私の名を彼は呼んだ。