神様には成れない。
ギシッ、とベッドが軋み、左手が私の頭の真横に落とされる。
片側に体重が掛かって、私の右半身が少しベッドに沈んだ。
思わず身を竦めて、体を固くする。
そんな私の左手を取って自らの身に引き寄せた。
「……怖い?俺の事」
怖くない。と言えば嘘になるけれど、それを口にするのを問いかけた彼自身が阻止するかの如く私の手首に唇を寄せた。
「――!」
驚いて腕を引こうにも手に籠った力が強くて引けない。声を上げようにも息が漏れるばかり。
唇が触れた所が熱を持ち始める。
彼は親指を手首から掌をなぞる様に動かし、辿りついた指先を包み込んでしまう。
その感触がくすぐったいと思うのも束の間。
「手、熱いね」
「っ」
今度は掌に唇が落とされた。
たったそれだけだ。たったそれだけでも、触れる事のなかった彼に触れれば、どうしていいのか分からなくなる。
ドクドクと脈打つのを全身で感じながら、その耐え難い恥ずかしさを堪える様に顔を反らして唇を噛み、自分の右手指先を口元にやる。
それだけで少しだけ安心してしまうのは、人間の心理なのだろうか。