神様には成れない。


「俺も多分、緊張してるんだよ。でも、それ以上に触れたくて触れたくて我慢できない」


重く、早く動く心臓はまるで急いているようにも感じる。


「分かってるでしょ?俺も瀬戸さんも、もう友達じゃなくなったんだよ?」


お酒を飲んだ事が彼をそうさせたのであれば、それはいつもと違う事になるのだろうか。

しかし、佐伯君は言った理性の話を当てはめるのであれば、潜在的にそうしたい気持ちがあったからで、それは……


「それでも駄目?」

「っ!だ、だめ……じゃ、ない……」


それは私を求めてくれているからなのかもしれない。

そう思うと拒む事なんて出来なくて、したくなくて、キュウっと目を閉じた。


「大丈夫。怖がらなくてもいいよ」


少しだけ笑ったような雰囲気を感じ取ったかと思えば、指先にキスをして指を絡める。

繋がれた手は頭付近に落とされた。


「っ」


体には更に彼の体重が掛かり、少しだけ呼吸が浅くなった。

するりと左手で私の右頬を撫でて、指先を耳の後ろに滑り込ませる。そうして耳に触れたかと思えば、グッと体が押し付けられて、彼は左腕に体重を掛けた。


「せんか」


熱っぽい声が私のすぐそばで聴こえた。


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