神様には成れない。


ゾクリ、と声に反応するように体が震える。

吐息が耳に掛かり、その自らの息を追うように彼が動いた。


「ふっ……」


反射的に右肩が上がって、逃れようとするのだが、僅かな動作など意味もなく唇で耳朶を噛まれた。

右耳のピアスが触れて少しの重さを自覚させる。

彼はペロリと自らの唇を舐めた。私の耳元でそんな事をされてしまえば、妙に生々しい音が耳に入って、カッと頭が熱くなる。

グルグルと熱が回って、熱くて、熱くて、いよいよ考える事すら放棄してしまう。

彼は壊れ物を扱うかのように酷く優しい手つきで私の髪を撫で、頬を撫で、唇をなぞる。


「好きだよ、千花」


間近に迫った彼の表情は、穏やかで、優しく微笑んですらいて、それでも彼は好きだと伝える様に、額にキスを落とした。

次いで瞼に、次いで頬に。

まるでそれは、零れ落ちる言葉の代わりのようで慈しむ様な姿にも見えた。


「っ……」


それを受ける度に享受していくようで、体から変な力が抜けて行く。


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