神様には成れない。
「っ~~!」
要らない所を思いだしてしまい、身悶えを起こしてしまう。
「……教えてよ。瀬戸さん」
それでも追いつめるように彼は私に迫る。
文字通り迫るのだ。ベッドの端から逃さない様に追いつめる様に、壁に手を付いた。
「そ、そんな事、言われたって……」
視線だけを彼に寄越せば、間近に彼の顔が迫っていて思わず息を飲む。
動けばその唇に触れてしまいそうで。
触れてしまうだなんて、そんな事を考える私ではなかった。それだけに、目を強く閉じて喉の奥から声を絞り出した。
「っ!おっ、教えない!!」
「えっ?!」
「き、昨日の事は……!昨日の淵くんと私の秘密だよ!!」
一気に吐き出して、耳に届いた言葉を脳内で噛み砕けば私も相当滅茶苦茶な事を言っている。
昨日と今日に何の違いが存在するのか。いいや、私の心一つ取っても大きく違いが存在しているのだ。
やっと自覚する事が出来た恋人関係が私を過剰な反応に導くのだ。数日前の方がまだマシだった。
「えぇ……何それ」
私の反抗に彼は脱力したように、眉を下げて困った表情を見せる。
彼は至って平静で。平常で。私なんかとは正反対で。
「……」
それがもしかすると“彼女”は許せなかったのかもしれない。
などと、何故今思ってしまったのか。