神様には成れない。


彼もまた、瞳を左右に揺らしながら次に出す言葉を探しているようで、それでいて居たたまれない様子で。

それは、私がしてしまった事に起因している事など容易に想像出来た。

けれど、だからと言って私が言おうとした事を止めたように、何か行動を起こす事は逆効果だろう。


「えぇっと……」

「……」


先だって絞り出した声を携えながら考えつつも、視線を私から逸らして言葉を落としていく。


「ん~~……瀬戸さんが優しい事は俺もよく知ってるけど、謝られると居たたまれないから謝らないで。分かった?」

「……」


同意を得る為に向けられた視線は、コクコクと頷けばすぐ様にまた彷徨い始める。

子供に言い聞かせるかのような投げ掛けは彼らしくはなく、それだけでもいつもと違うという事が見て取れる。

ああ、彼の心を踏み滲む真似をしてしまったのだと今更に気付く。

嫌だったと言うわけでは勿論ないのだが、今回は内よりも外の問題だったのだ。相手からすれば些細な事だろうけれど。


「……俺が考えなしだっただけだから、そんな顔しないで。ほんとに……うん」


どんな顔をしているのかなんて見えはしないけれど、彼を困らせてしまうくらいには心情が顔に出ているのかもしれない。

それを受けて「でも」と続け、頬をなぞるように手を動かし、封じた口を解放した。


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