神様には成れない。
「えっと、えと、京ちゃんはお買い物?」
彼女の手にはいくつかのショップ袋が握られていて、明らかに見たままなのだが誤魔化すように引きつった笑みを見せる。
よくよく見れば、目の前の雑貨屋の袋も手にしているので、もしかすると店内から既に見られていたのかもしれない。
「息抜きにちょっとね。……買い過ぎたけど」
手に持ったそれらを一瞥して、照れくさそうな表情を見せる。
「そうだ!折角だしご飯食べて帰らない?千花一人みたいだし」
「うん、勿論いいよ。でも、京ちゃん忙しいって言ってたけど大丈夫?」
彼女はこの年で専門学校を卒業するので、就職活動や学校の課題等で忙しくしているらしいのだ。
「いいの。今日は忙しいのお休みの日なの」
「そう?」
「それに、アイツがいないならラッキーじゃない?いっつも一緒にいそうだから私だって一応遠慮してたんだから」
「アイツ?……あ、淵くん」
彼の事か、と納得したもののそんな遠慮をされていたのかと、たじろぐ。
「う、ううん!そんな遠慮なんてしなくていいのに」
それは簡単に表情に出てしまうらしく、京ちゃんはキョトンとした顔を浮かべる。
まるで不思議なものを見たかのようだ。
「……何顔赤くしてるの?私何か言った?」
「何も?!ほら、早くご飯食べに行こう?私お腹空いちゃった」
上擦った声を出しながらも彼女の背を押す。
先までの私の行動を追求されなかったにしろ、こんな様子は答えを掲げているのと同意義だろう。