神様には成れない。


数度のコールを経て、繋がる。

相手は開口一番に軽快な声を寄越してきた。


『千花ちゃん?俺に電話とか初めてだよな!』

「急にごめんね、佐伯くん、今平気?」

『へーきへーき。どした?』


電話口から聞こえてくる雑音から、外に居ると推測出来るのだが、電話することに問題はないようだった。

私は携帯の充電を気にするあまり、早口に問おうとしてしまうのを堪えてゆっくり口を開いた。


「あのね、淵くんと連絡付かなくて、佐伯くんは知ってるかと思って」

『んあ?淵?連絡付かねーって何?』

「電話しても電源入ってないって言われるんだけど」


『はぁ……?』と、困惑のような短い返答のような音を漏らす佐伯くん。

その様子からして思い当たる事はなさそうだった。


『用事ある時しか連絡なんてとってねーしなぁ、夏休みだと特に……つーか、そもそもその前は学校もソッコーで帰ってたくらいだし』


案の定そうかと落胆する。

となれば、連絡がつかなくなったのは少なくとも京ちゃんと会って以降になる。


『連絡付かないのだって偶々かもしんねーけど、こっちでも気にしとくから』

「ありがとう」

『……でも、正直あんま関わんない方がいいと思うけどな』

「え?」


軽快な声とは一変して、声のトーンが落とされる。

普段の佐伯くんが陽気なだけに、身構えてしまった。


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