神様には成れない。



声を聞いて彼女が返事をする前に続けて問う。


「淵くんと連絡が取れないの。何処にいるか知らない?」

『はぁ……?えぇっと、兄と連絡がとれないんですか……?』


説明すら飛ばして聞こうとした為か、状況が掴めていない様子の彼女は困惑したように問いを返してくる。

それでも彼女は精一杯に答えてくれた。


『家に引きこもってるんじゃないですか?兄はあれで出不精なところもありますから、家に行ってみては……』

「違うの。家にも居なくて、シャルロットも居なくて」

『……あの子もですか?』


そこで彼の気まぐれの行動ではないと察したのか、声が硬くなる。

そうして、考えるように暫しの沈黙を持たせた後、次いで、ゆっくりと私に問いかけた。


『違ったら、ごめんなさい』


と、何処か緊張しているような声色で前置きをした。


『もしかして仁菜ちゃんに会ったり、それ関連で何かありました?』


的確な問いで、確信に近い問い。

兄妹だからこそ、分かる事だってあるのだろう。


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