神様には成れない。
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彼女に案内したお店と言うのが、莉子ちゃんと来たたお店だった。
以前来た時同様、3段重ねのパンケーキに色とりどりのフルーツが目の前に並ぶ。違うのは目の前に仁菜ちゃんがいると言う事なのだが。
「すごーい。美味しそー!」
そんな彼女は私の心中など知らずにスマホで写真を撮ることに勤しんでる。
「う〜〜ん、甘いものにはコーヒーがいいんだけど、我慢我慢」
そんな事をぼやきながらオレンジジュースに口を付ける。
ストローでそれを吸い上げながらふと、何気なく此方に視線は寄越される。
くりっとした、まん丸い瞳は小動物を思わせた。
私と目が数秒会えば、ニコッと笑い返され、今度は手にナイフとフォークが持ち替えられる。
パンケーキに丁寧にナイフが入れられていく様を眺めていれば、投げかけられる会話。
「聞きたい事、あったら聞いていいよ。その権利は千花ちゃんにあるもん」
「えっ?」
思わず戸惑ってしまったのは、あまりにもあっさりとしていたからで。仁菜ちゃんの言う聞きたい事に該当することなど淵くんのことに決まっているのに、それを彼女自身が受け入れているようだったからだ。
私と彼の関係を分かっている筈の彼女が、その事を予想できない筈もないだろう。