神様には成れない。
「はぁ……」
極度の緊張と過度の疲労から溜息を吐き出す。
あまり食事は喉を通りそうな気もしないけれど、残すのも忍びない為少しずつでもパンケーキを口に運び続けていた。
お昼時を過ぎ、間食には持ってこいの時間に差し掛かっている為であろうか店内には順次人が入ってくる。
自動ドアが音がする度に何となく目を向けてしまい、その度に視線をまた下に戻す。
そんな意味のない行為を続けて数回目、入店してきた姿に見覚えがあった。
本当に世間は狭い。いや、この店を教えてもらったのは彼女からだった為、来てもおかしくは無かったのだ。
思わずじっと見てしまっていれば、バッチリ目が合った。
「うっ、わ、何でいるの……?!」
彼女、莉子ちゃんは目に見えて私に嫌そうな表情を向けた。
莉子ちゃんが目に見えてそんな表情をする事など殆ど無かった為に、少しばかり悲しい気持ちになり声を掛けることすら躊躇われる。
そうしている間に莉子ちゃんの背を押す男の人の姿が目に入って来た。
「中島、詰むから早く入ってって」
「あっ、いやっ、やっぱ違うとこいこ!」
「はぁ~~?そっちがパンケーキ食べたいって言ったんだろうが」
「き、気が変わったって言うかぁ~~」
「んだよ、それ、よく分からない奴だよお前は……ん?」
「!」
先の莉子ちゃんの態度よりも、入り口で押し問答が始まった事の方が心配になり見ていると男の人の方と目が合ってしまう。
慌てて目を逸らしてまた俯いた。