神様には成れない。


見ていませんよとアピールしたつもりだったのだが、そんな事はその人にとって取るに足らない事だったようで。


「なぁ、中島。あれって中島の言ってた瀬戸ちゃんじゃないの?ほら、写真見せてもらっただろ?」


何故だか私の事を知っているようで、驚いて顔を上げてしまう。当然私とその人に面識などない。

しかし、顔を上げたことは私自身が肯定したのと同意義。


「あ、あ~~……」


私が肯定している以上、莉子ちゃんも誤魔化す事が難しかったのだろう。

困ったように視線を泳がした後に、私に視線を向けた。


「ほ、本当だぁ。瀬戸ちゃんじゃーん」


先にしっかりと目が合っていたと言うのに今気づいたと言いたげに、あからさまに取り繕ったよう普段通りの調子を見せ、それでも引きつったような笑みを浮かべる。

私もそれに応えるように小さく手を上げた。


「んじゃ、また学校でね~~」


彼女は私の行動を認めると、さっと踵を返す。それほどまでに帰りたいのだろうか、しかし、それを他でもない彼が止める。


「いや、待って待って。せっかくだし俺に瀬戸ちゃん紹介してよ」

「え、いや~~?……ほ、ほら!瀬戸ちゃん誰かと来てるみたいだしぃ?私たちお邪魔だって~~、ね?ね?」


いいから帰ろうとぐいぐいと入口へ追いやる。

彼女が帰りたがっている様子である限り、私は何も声を掛けれずにその押し問答を見ていた。


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