神様には成れない。
でもどうしよう、参ったな。と次に出す言葉を躊躇してしまう。
別に男女の関係になる、ならない、なんて事を考える必要はない。佐伯くんのようにフラットに友達のように接すればいい。そう思うのに、紹介する前提からして男女の関係を僅かばかり含んではいるように見受けられる為に、なるべく線を引きたいところだ。
「瀬戸ちゃんってさー、彼氏いるの?」
「!ちょっ、木嶋くん!!」
「え?何々?中島がなんで焦ってる訳?」
「あっ、いや~~……?ほら、瀬戸ちゃん純粋な子だから、さ?」
「何だそれ。今日中島変だよ」
「いやいや、私は私、いつも通りだって!」
明確にこの話題を逸らそうとする莉子ちゃん。
確かに今日の莉子ちゃんは最初から変で、もしかするとこうなるからこそ彼と私を会わせたくなかったのかもしれない。
特に今は……
「千花ちゃん、今彼氏と上手くいってないんだってぇ」
「!!」
「へ?え?誰?」
少し前から話を聞いていたのだろう。彼への返答を携えて現れたのは席を外していた仁菜ちゃん。
当然莉子ちゃんは驚きを隠せずにマジマジと彼女の事を観察していた。
こうなった以上に事態を一つ一つ片付けて行く他ないと、まず先に彼女の紹介をしようと口を開く。
が、
「……あれ?もしかして、水無川さん?」
誰よりも先に木嶋くんが仁菜ちゃんの名を口にした。