神様には成れない。


右隣から同意を求められて、目を見開く。

容易く首を縦に振ることもできず、ましてや嘘を吐いて横に振ることも出来ない。


「えっ、俺だったら何があっても彼女には連絡するけど」

「……ほんとだよね~~。ナナくんも千花ちゃん放って何やってるんだろうね」


駄目だ駄目だ。また話は戻る。

こんな話を聞きたいわけじゃない。こんな事を言われたいわけじゃない。

グワン、とまた頭が揺れるような感覚がする。


「うーん、やっぱり、これも何かの縁だしさ、俺と友達から始めてみない?」

「あっ、それも良いかもね。友達なら問題ないし」


グワン、ぐわん、と揺れる。


「ちょ、ちょっと待ってよ!同じ高校だった同士で盛り上がるのはいいけど瀬戸ちゃんの気持ちもさ……」

「でも、辛い思いより楽しい思いしてた方が良いだろ?」


そうして渦巻く黒い靄。


「俺だってきっと同じくらい優しくできるし、笑って同じ時間を過ごしたいと思うし、いや、過ごさせてみせるし、顔は……淵ほど良くはないけど。駄目?」

「わっ、殆ど告白だね?!いーなー、ね、千花ちゃん木嶋くん絶対いいよ!」

「……」

「だから、二人で勝手に話進めるの変だよ!」


そうこの感覚の正体を私は知っている。


「ふざけないで」


これは純粋な怒りだ。

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