神様には成れない。


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「うぅ……」


頭に血が上ったからだろか、心臓に血が駆け巡ってバクバクと音を鳴らす。

やはり慣れない事をするにも体力がいる。

少しだけ足を緩めながら胸を押さえて当てもなく進む。

また後で莉子ちゃんに謝らなければ。仁菜ちゃんともしっかり話をしなければならないのに置いてきてしまった。

無意味かもしれないけれど、落ち着いたら戻ろうか。と、考えていると、カツカツとヒールの音が響いてきた。


「瀬戸ちゃん待って!待って!ほんっとーに!木嶋くんが悪かった!!」


大声を上げながら引き止めて来るのは他でもない莉子ちゃん。

どうやらお店から私を追って来てくれたようだ。

此方に向かって来る莉子ちゃんに対して、先に行かないと意思表示をするように私も彼女に駆け寄れば、走るのに限界だったのか、肩で息をしながら歩み寄ってきた。


「きっ、木嶋くんが……悪かったけど、私も前会ったときに似たような事……いっ、言ってたから……ごめ……っ」

「落ち着いてからで良いよ莉子ちゃん」

「う……ありがと……」


往来が多い中立ち止まっては邪魔になる。そしてこの日差しの下にずっと居るのも参ってしまうと莉子ちゃんの手を引いて建物が作る影に入り、道の端に寄る。

彼女は何度も深呼吸を繰り返して息を整える。そうして最後に大きく息を吐いた。


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