神様には成れない。
乱れた髪を整え、前髪を払い、今一度頭は下げられる。
「ごめんね。瀬戸ちゃんが色々大変な時に面倒ごと持ち込んじゃって」
「ううん。今思えば、莉子ちゃんが帰ろうとしてたのも納得出来るし謝る必要は、」
「あぁ~~ダメダメ!簡単に許さないでよ。いや、許してもらわないと困るんだけど」
「む、難しいね……」
私にどうしろと言うのか測りかねて、へらりと苦笑いを浮かべてしまう。
莉子ちゃんは髪を1束引っ張って弄びながらうーん、と唸り声を上げる。
「優しすぎるんだよね~~瀬戸ちゃんは。……とは言え、今みたいに怒られるのもビックリするね」
「怒って……」
ないとは言えずに押し黙る。
「いやいや、いいんだよ。怒るべきところではあったよ。二人とも……私もだけど、瀬戸ちゃんに対して勝手なこと言ってたんだから」
「……うん」
そうして莉子ちゃんの言葉に頷く。
普段だったらそんなことない、私が悪い、と言っていたかもしれないけれど、そんな事も言えずに受け入れる。
負の感情を吐き出すことは私にとって跳ね返ってくるように重くて気持ちが悪いものでだったけれど、今日ばかりはこの感情を吐き出せてスッキリとさえしていた。
意味のない我慢ばかりしていたのかもしれない。