神様には成れない。
21:立ち入る事は出来ない。
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それから莉子ちゃんとは別れて、元居たお店に戻れば木嶋くんの姿はなく、お店の前には仁菜ちゃんだけが私を待つように立っていた。
「よかったぁ。戻って来てくれて」
私と目が合えば何処か安堵したような表情を見せて、汗を拭うかのように前髪を払う。
この炎天下の中待っていたのだろうか。
「木嶋くんは?」
「ちょこっとだけ私と話して帰って行ったよ。千花ちゃんに悪い事したって言ってたよ」
「そう……」
「悪い事って言うなら私だって悪い事したのにねぇ」
そう言って、仁菜ちゃんはクスクスと笑い一歩歩きはじめる。
それに習うように私も足を動かす。
私よりも小さい歩幅で、ゆったりとしたペースで何処かに向かう。
「でもね、そんな事いくらでも言われるような事で、一々相手してたらキリなんてないんだよ」
だから謝りもしないし、私は悪くもないと主張しているようだった。逆にそれが潔く感じて何も言えなくなる。
もとより、先の事に関して言及する気などなかった。