神様には成れない。


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「お邪魔します」

「どーぞ。俺着替えてくるから、先に奥の部屋行ってて」

「はーい……」


返事をしつつ、脱いだ靴をそろえる。

なんだか妙にドキドキとした気持ちになりながら、1番最初に目に付いたのは靴入れの棚に置かれたままの封筒。

あれは写真が入っていた封筒なのだと思うのだが、まだ置いたままにしているらしい。

それを横目に上がり、奥の部屋へと進む。

ドアを開けて目に入るのは閉め切られたカーテン。薄暗い室内は昨日を彷彿とさせる。


「……」


少し考えたものの、昼間から電気をつけると言うのもどうかと思い、勝手ながらカーテンを開ける。

眩しいくらいの陽の光が差し込んで部屋を明るく照らす。

次いで窓も開ければ、高い階だからだろうか気持ちの良い風が入って来た。

風に煽られる髪を撫でながら、何となくベランダの向こうに目を向ける。

高い階にいたところで見渡す限り建物ばかりで、少しだけ閉塞感のようなものを覚えた。



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