神様には成れない。
そうやって暫く彼を待っていれば、キィっと扉が開く音が背後からした。
「あ、窓開けてくれたんだ。熱気こもってたから暑かったでしょ」
暫く換気したらエアコンつけるから。と、そのままキッチンの方に足を進める。
冷蔵庫を開ける彼の背を見遣り、その奥に見えたのはあまり食材等が入っていなさそうな中身。
「……」
また考える。何度かこの光景は見ていたが、ここまで中身が無かったことがあっただろうか。
「……ごめん、冷たい飲み物切らしてたみたい」
「ううん。大丈夫だよ、気にしないで」
「うーん……ちょっと買ってくるね」
「えっ、私の事なら本当に気にしないで。……それより、もしかして昨日も此処に帰ってなかったりする?」
そう思ってしまうくらいに、以前より生活感が薄れていた。