神様には成れない。
03:無防備には成らない。
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名称だけのデートをしてから早数日が経った。あれから淵くんと連絡を取ってもいないし、シフトも被っていなかった為、顔すら合わせていない。
タイミングが合わなければ一週間顔を合わせない事もあったので、特に気にはしていなかったのだが、何となくどうしているのだろうか等と考えてしまったりする私もいる。
しかしながら、そうは言っても今日も今日とて大学に行き、バイトを終えて、一人帰路に着いていた。
しかし、帰りの道中の街中で
「おねーさーん。俺と飲まないーー?」
酔っ払いに出会った。
お酒が入っている事から間違いなく年上なのだが、私とそう年齢が変わらないように見える。
間違ってほしくないのが絡まれているのは私ではなく、私の友達だと言う事だ。
「え、なになに?!怖いんだけど無理無理無理無理!」
過剰なまでに拒否する姿は何度も見た事がある。何故だか彼女はこうやって酔っ払いに絡まれるのだ。
いつもそれには苦労していると言う愚痴を聞いたことはある。
街行く人はナンパくらいにしか思っていないのだろう、一瞥するのみで先を急ぐ。あるいはトラブルに巻き込まれたくないのか。
私はと言えば見かけてしまった以上放っておく選択など初めから無く、何よりも彼女が嫌がっているのは目に見えて分かるので、頭の中で最寄りの交番を思い起こして、いざという時に駆け込もうと決めて間に入っていった。