神様には成れない。
「あの、ごめんなさい。この子私の友達なんですけど、男の人苦手なので」
「え~~?だってぇ。俺女の子と飲みたいもん~~」
「えっ?えっ?あ!千花!?」
へらへらと笑う男の人に向き合う後ろでは突然割って入ったからか驚きの声が上がる。
酔っぱらっている人と言うのは往々にして変な絡み方をするが、よほどでなければ引き下がってくれるので、敵対心むき出しにしても逆効果だ。
と言うのは、彼女と一緒に居る時に学習しているのだが、どうにもこの子は男の人が苦手だからかキツく当たりがちで、話を大きくしてしまう。
どちらが悪いわけでもないのだが、次第に口論になっていく様もよく知っているので第三者が間に入る方が丸く収まりやすい。
「?」
と、ふと気づくのがこの酔っぱらっている人からは殆どお酒の臭いはしないと言う事だ。
見るからに陽気で絡み癖があるようにも見える様は、酔っ払っているからではないのだろうか。
けれど、そうは言っても彼女が絡まれている事には変わりないので間に入る事に徹する。
「飲みたいって言ってもこの子まだ未成年なので、諦めてくれませんか?」
「えっ?!未成年!?22くらいだと思ってた!」
「はぁ!?」
「きょ、京ちゃん怒らないでね!?」
彼女は大人びた顔立ちなので私と違ってよく年齢が上に見られがちなのだが、そう言った反応が原因で更に口論に火が付く事はままあるのだ。
私は後ろをなだめつつも、男の人の様子をうかがう。
「未成年かぁ~駄目じゃん未成年がこんな時間にうろついたら~~」
と今度は何故か年上ぶって、注意を促してくる。
こんな時間と言うが私のバイト終わりの時間帯であるので、別に深夜と言う訳でもない。
普通に喋りたい人なのかなあと、呑気に考えながら
「なので、今から帰ろうと思ってて」
と、何とか話を切り上げようと京ちゃんの手を取った
「ああっ!いたいた!また女の人に絡んでるし!」
処で何故か聞き覚えのある声が飛び込んできた。