神様には成れない。
他でもない京ちゃんが服を引っ張っているのだが、漸く振り返ってきちんと顔を見ると帰りたそうにしているのが目に見えて分かった。
「千花ぁ……その知り合いの人?がどうにかしてくれそうだし、今のうちに帰ろう?って言うかご飯一緒に行きたかったんだけど」
「うん。いいよ」と発しようとした時にまた、ご機嫌な声が割って入ってきた。
「え~~??ご飯?俺も一緒に行く~~!れっつごー!」
京ちゃんは淵くんと話していて聞こえないと思っての発言で、それでもほぼ耳打ちのような声量だったのにどうやらしっかりと聞こえていたらしい。
発言を受けて案の定京ちゃんは過剰な反応を示した。
「はぁ!?何で一緒に行かなきゃなんないの!?ありえない!無理無理無理!」
「あーー……」
佐伯くんの後ろでは困ったような表情を見せ、ただただ音を漏らす淵くん。
慣れた様子であるも手に負えないのか、この光景を見ながらも何かを考えるかのように口元に手をやる。
「ご飯はみんなで食べたほうが美味いし?瀬戸ちゃん?と淵は知り合いみたいだし?問題なくない??」
「私とアンタは全くの赤の他人だから問題大ありじゃない!!」
「きょ、京ちゃん落ち着いて」
飄々とした態度が気に障るのか、噛みつくように反論する様は私でも気圧されるのだが、佐伯くんは気に留める様子もなく笑みを見せまだ食い下がる様子が伺える。
流石にあしらうのが難しくなってきたので、丸く収めてくれるであろう人物に目をやると今まさに考え事が終わったのか口が開かれた。
「よし。皆でご飯に行こう」
「やった~~!」
「……」
「……」
予想だにしていなかった発言に思考が停止し、口を開くことが出来なかった。
……佐伯くん以外。