神様には成れない。


それでも思考を取り戻すのが早かったのは京ちゃんだ。


「――っ、いやいや!?何でそこでそうなるの!?アンタもこの男の仲間!?ああそうだよね!?お友達だもんね!?」


ぐちゃぐちゃなままの思考をそのままぶつけるかのように、吐き出して吐き捨てる。

京ちゃんほど荒ぶりはしないものの、私は淵くんが一体何を考えているのか今日ほどわからないと思った事はない。


「うーーん……流石に俺も今日の佐伯は手に負えなくて、助けてほしいんだよねぇ」


どうやら、彼もまた困惑している人の内の一人らしく、それでものんびりとした口調で助けを請うてきたのだ。

その様子を逆に冷静な目で見ることが出来たのか、ぴたりと京ちゃんは口を閉ざし私へと視線を向けた。

縋る目が痛々しい。


「……って言われても最初に言ったけどこの子男の人苦手で」

「じゃあ瀬戸ちゃんだけでも!女の子に俺の話を聞いてほしいんだよ~」

「はぁ!?無理無理ばっかじゃないの!?アンタとそこのアンタと千花だけで私が行かせるわけないじゃない!」

「えっ、京ちゃん!」

「……あ」


かくして。私に断りを委ねたとはいえ、先まで沸点が上がっていた状態の彼女は一瞬でまた湧き上がらせ、自分を窮地に追いやったのだった。

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