神様には成れない。
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「とりあえず佐伯。無理やり付き合わせるんだから、そのウザ絡みやめてちゃんとして。今日ジョッキ一杯も飲んでないのにそんな酔っぱらってないでしょ」
「はぁい。流石に自棄になって絡みすぎたわ。二人ともごめんなー」
と言うようなやり取りを成され、近くの半個室のような飲食店に入った。
先にお酒の匂いがしないと思ってはいたが、どうやら半ば演技だったらしく、淵くんに注意されてからと言うもの酔っているような素振りをきっぱりと止めたのだ。
それでも陽気な雰囲気が消えないのは、それが元々の佐伯くんの性格なのだろう。
「くそぅ迂闊だった私のバカ……っ!」
隣では俯いて自らの発言を悔やむ声が聞こえる。
「まぁまぁ、京ちゃん。これも何かの縁だし男苦手とはいえよろしく~!ほらこの淵七斗と言う男なんか人畜無害そうで怖くないっしょ?」
「あのねぇ。すぐ俺を引っ張り出すのやめろって」
「だぁってさ~、とりあえず女の子って顔のいい奴好きじゃん。だから京ちゃんも好きかなぁって。どう?」
「私そもそも顔がどうこう言う男って無理だからアンタは無理。あとその顔がいいアンタもちょっとなんか無理」
「ちょ、ちょっと京ちゃん流石に……」
言い過ぎだと制止しようとするも束の間、目の前からは盛大な笑い声が響いてきた。