神様には成れない。
私は右耳を抑えながら、掛けられた髪をまた慌てて戻した。
「こわっ。アンタそんなことしてたの?それで釣れる女もどうかと思うけど」
「いやいや、それが淵だとこれで釣れるんだって。それが女の子にとって遊びにしろ、本気にしろ、顔が良ければオッケーってな」
「千花になんて事するのよ。ほんと男ってやだやだ」
「あはは。ごめんね瀬戸さん」
先までの雰囲気は何処に行ったのか、あっけらかんと謝りをいれてくる。
女の子に触れた所で何とも思わないと言っていたように、今だってそうなのだろう。大したことではないと言うように、私が髪を直すのに触れた場所を彼もまた撫でつけている。
髪直ってる?なんて呑気に佐伯くんに聞いてさえいるのだ。
「千花も千花だよ!そんな無防備に男に触るなんて!コイツ男!分かってる?」
「いやいやでも、合コンに来る子なんてみんな触ってくるし、それが手っ取り早くいけるかいけないか判断できる要素なんだぜ?」
「だからって今合コンじゃない!」
「京ちゃん、大丈夫だよ。ちゃんとわかってるから。ね?」
宥めるように京ちゃんに言い聞かせて見れば、疑うような目を向けながら唇を尖らせた。