神様には成れない。
悪びれる様子もなく、受け入れられてしまえば返す言葉もない。
「でもなぁ。この淵だって人畜無害な顔してるとは言ったけど男である事には変わりないんだぜ?気を付けねぇと」
「あっ!そうよ!いくらバイトが同じだからって油断しちゃだめだわ!」
「何で俺こんなに貶されてんの?」
今度は矛先が淵くんに向いたようで、向けられた本人は疲弊した様子を見せた。
やりたい放題、言いたい放題で、何とも自由だ。
佐伯くんは更に淵くんに切り込んでいく。
「だぁってさー、コイツこんな顔して彼女の1人もいないし、出来る様子もないけど勃つものは勃つ……おっと」
慌てて口で手を抑えたところで、落ちた言葉は消えない。
弁えてる。と先に言った割にはサラッと言葉にしてしまうのは性質からか。男の子はそう言う話をするのが普通だからか。
佐伯くんの隣で淵くんは盛大に溜息を吐いた。
「……お前ねぇ、すぐ下卑た話するから上手くいかないんだろ」
「最低最悪!見直したのが間違いだった!」
「……」
責め立てられる佐伯くんを救う術もない。私はただ黙り込むしかできない。
そう言えば淵くんも以前下卑た話になるからと打ち切ったけれど、この類の意味だったのかと困惑してしまう。
「にしても、千花ちゃん強いな。こんな話しても嫌そうな顔一つしない。って言うか全然嫌そうな顔今日は見せてないよな。絡んだときだって」
と、言われても実際は反応に困りはしたのだ。けれど、そうは言っても仕方がない。
「えと……私、その類の話は苦手だけど、そう言った人だっているし、酔っ払いだってそう言う気分の事もあるだろうから私が嫌な顔したところで、とも思っちゃうんだよね」
「いや、でも怒るところは怒った方が」
「人の為に言うのならまだしも、自分の為に怒っても相手に納得はしてもらえないでしょう?」
「あー……これは京ちゃんが守ってあげないとな」
「でしょう?」