神様には成れない。
「あ、もうここでいいよ。一人で帰れるのにわざわざありがとね」
「最後まで見送るよ?」
京ちゃんの家は目視出来ているとはいえ、最後まで見送るつもりだったのでそう申し出ると、大丈夫と首は横に振られる。
緩く巻かれた長い髪が揺れた。
「きっと待たせちゃってるもの」
眉を下げながら申し訳なさそうにそれだけ言う。
はっきりと何でも口にだし、横暴な態度で男の子に接しているけれど根は真面目だ。
その根が傷ついているからこそ、一種の自衛が働いてしまっているのだろう。
根が悪い人なんていないとは言わないけれど、そうやって根を守っている人だっているのだ。
「勝手だけど、ごめんなさいって二人に千花から謝っといて」
素直になりたいのに素直になれない彼女は、いつだってとり返しのつかない言葉と態度を悔やんでいる。
そうしても尚変われないのは、身に付いてしまったものは簡単に拭い去る事が出来ないからなのだろう。
私だって身に覚えがあるからよく分かる。