神様には成れない。


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ここからおよそ徒歩10分。早足で彼が待っているであろう場所まで向かう。

腕時計を見ると時刻は既に23時を過ぎた所で殊更急いだ。

京ちゃんが指定した場所と言うのが、今の場所からすれば駅へ向かう方向なので、車通りもありながら必然的に人通りも増えてくる。

当然、時間も時間で帰宅時間と比べると目に見えて差があるのだが。

それでも、個人的には特に送ってもらう必要性もないと感じていて、加えて私はここから二駅電車に乗らなければいけないのでどちらにしても駅までになってしまう。

なのに何故、私は京ちゃんの提案を拒否しなかったかと言えば、帰り際に佐伯くんが淵くんに向けて言っていた言葉が耳に残ってしまったからだ。

私はまた時計を見て顔を上げた。

もうすでに彼を目視できる距離まで来ていたらし漸く気づく。


「……――」


気づいていながらも私の足はその場で留まってしまっていた。

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