神様には成れない。
誤解されたところで、文句も言えない事を平然と彼はやってのける。
半身だけ彼に向けていた体を正面に向き直る。
ぎゅうっと手に力が込められるも、立っている私からは俯向き加減に座っている淵くんの表情は見えなかった。
「あの……淵くん?」
掛ける言葉など見つけれないのに、名を呼ぶ。
淵くんは返事もせずポツリと呟いた。
「ん~~、何だろうな」
「何が?」
こんな状況で、呑気な声色で少し拍子抜けしてしまうも、淵くんはまた何か考え事をしているようだ。
それは以前ここで話した時にも見た光景。
そう、自分の考えを纏めるように、見つけるように言葉を落としてく。
「俺、あんまり誤解されたくないから気を付けてるんだけど、何となく瀬戸さん相手だと迂闊にそう言う事しちゃうみたい」
今だって手を繋いでいるのが、引き留めたのが迂闊だと主張するような言葉。
なのに、誤解されたくないだなんてチグハグもいい所だ。