神様には成れない。
05:君を好きに為りたい。
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「おじゃま、しまーす」
夜も更け、淵くんの住むマンションは静かだった。玄関先で声を出せば暗い奥の部屋に声が少しばかり響く。
気のせいだろうか、花のような香りがした。
彼は靴を脱ぎながらクスクスと笑う。
「そんな緊張しなくても大丈夫だよ、同居人もいるし」
また念を押すように私に声を掛ける。
「どうきょ……?」
言葉の意味が理解できずに、復唱する。
その間も彼は部屋に上がり奥へと足を進めていく。
「そうそう同居人。あ、どうぞ上がって」
何てこともないように言うけれど、遅れて理解すると気づく。
一緒に住んでいる人がいるのなら、こんな深夜に来てしまったら迷惑ではないのだろうか。
そもそもがそんな話今まで一度だって聞いてない。
「淵くん、私……」
やっぱり帰るよ。と言いかけた時に一つの声に阻まれた。
「にゃあ!」
「……猫?」