神様には成れない。
お言葉に甘えて、私は座ってシャルロットのふわふわした毛並を撫でていたのだが、ぴくぴくっと耳が動いたかと思いきや膝から降りてキッチンの方に小走りに駆けて行く。
「あ、待って!」
落ち着きがあると思いきや急に動き始める。何て気まぐれな子だろう。
飲み物を入れてくれている淵くんの邪魔になってはいけないと追いかけるのだが
「わっ!?お前のご飯はあげたじゃん。これ、ご飯じゃないって」
「にゃー」
少しばかり遅かったらしく、シャルロットが足元をうろうろ動き回る中、此方に戻ってきた。
「ご、ごめんね。そっち行っちゃって」
「んーーん。コイツ気まぐれだからね。とりあえずこれどうぞ」
お礼を言いながら差し出されたマグカップを受け取ると、瞬時に温もりが伝わってくる。蜂蜜が入っているのだろうか普通よりも甘い臭いが鼻腔をくすぐる。
淵くんはテーブルを挟んで正面に座ると、自分のマグカップと一緒に持っていたフォークをテーブルに置いた。
「……あ」
一瞬何故と首を傾げそうになり思いだす。元をただせば一緒にお祝いすると言う話だったのだ。彼と話をしているとついつい脱線してしまいがちなので忘れてしまう。
それは、彼の複雑な感情とよく似ている。