神様には成れない。
あの日の公園の出来事を彷彿させる雰囲気に、少々戸惑いながらも苦し紛れに言って見せる。
「淵くんって意外と世話焼き……?」
気を回せると言えばそれまでなのだが。
「ん~~?そう?妹いるせいかな」
何気ないように言いながらマグカップを持ち上げる。どうやら中身はコーヒーらしく黒い。
「妹さんいるんだ?」
「そうそう。二つ下の妹」
唐突に投下される彼の個人的な話。今まで聞こうとしなかったと言うのもあるけれど、自ら話するのは珍しい。
「淵くん何かいつもよりテンション高い……?」
その様子が不思議で、少しばかり怖くてつい口をついて出てしまう。
何となくだが、彼は自分自身の事についてはとくに壁を作っていると思っていたのだ。
家族の話だろうと自分の話だろうと、私が聞いても良いものなのか不安になる。
「あ~~……うん。自分でもそう思う。瀬戸さんが家にいるから浮かれてるのかも」
はにかみながらまたコーヒーを飲む彼につられて私もカフェオレを口にした。
牛乳が多めでほのかに蜂蜜の味がする。甘くて美味しい。