神様には成れない。
これで淵くんが浮かれているのなら、あの日、公園で話した夜もそれに近く感じる。
そもそも、こんな風な淵くんを見るのが珍しいので、もしかすると私だけが知っているのかもしれない。
なんて、自惚れてしまう。
「っと、こんな事言うとまた瀬戸さんに怒られるね」
「いや、怒りはしないけど」
度重なる言葉に自ら指摘し、お皿にコンビニのケーキを移しはじめる。
二つあるショートケーキを一つずつ分け、切り替えるように、互いの前にお皿を差し出す。
「ケーキ食べるの久しぶりかもしんない」
と言いながら苺にフォークを突き刺す。
「え?」
「うん?どうかした?」
「お誕生日なんだから食べる前に歌唄わないと」
何の前触れもなくケーキを食べ始めるので、真面目に答えたつもりだったのだが
「ふっ、あははは!」
淵くんは私の言葉に盛大に吹き出した。
こんな風に笑われるのは何度目だろうか。