神様には成れない。
お腹を抱えて笑いだすものだから、シャルロットもそれに驚いてしまったのか部屋の隅に逃げてしまう。
彼はそれに構う事なくケラケラと笑い続けた。
「な、何でそんなに笑うの!?」
「まっ、まさか歌まで歌ってくれるとは思わないでしょ!瀬戸さんほんっと、純粋だねぇ!」
「うっ……!そっ……!」
言い返してやろうとするのに、その楽しそうな姿に気圧されて反論の言葉一つだせやしない。
恨みを込めてジッと見つめてやると、彼は視線に気づいたのだろうか咳を一つ零して気を取り直す。
それでもまだ少し笑いそうになっていたのだが。
「あ~~……あれか。瀬戸さん家って誕生日ちゃんとやる家?」
何事もなかったかのように振る舞うので、一言くらい言ってやろうかと考えるも止める。
それは、確かに普段の習慣の違いなのだから。
「……そうだよ。大学生になって一人暮らしするまでずっと、家で歌歌ってお祝いしてもらってたよ」
そう言えば、これを人に言うと驚かれた事もあったな。と漸く思いだした。思春期が来ると家族と過ごしたりしない子が周りに多かったのだ。
疎ましくさえ思っている子もいただろう。
私にはどうしてもそれを理解することが出来なかったのだが。
「なるほどなるほど。瀬戸さんが純粋なのはそう言う訳か。いいお家だね」
けれど彼はまるで私を認めるかのように、何てこともないように言うのだ。