モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。
“ アイツ……委員会の時、いつも霧雨さんのことを無表情で見てる。
何が怖いって、ただ見てるとかじゃない。
霧雨さんのことを、心がないような……、見てるこっちがゾッとするような冷たい目で見てる ”
委員長の言葉が忘れられず、念の為と、教室に戻れば、莉世のカバンはまだ残っていた。
「なんで、まだ学校に………」
教室にはいない。
だとしたら、どこに……?
「まさか………っ」
ゾッと嫌な予感がして、脇目も振らず、全力で走り出した。
「とにかく、霧雨さんのことが大事なら、常に傍にいてやれよ。天野は、なんか…危険な匂いがする」
走りながら思い出すのは委員長の言葉。
「天野って、いる?」
5組に行き、キャーキャーうるさい女子を無視して近くにいたやつに話しかければ、
「天野?
カバン机に置きっぱなしだし、まだ校内にいるんじゃねーかな?」
「クソっ!!」
「あっ、おい!?」
後ろから呼び止める声が聞こえたが、ダッシュで体育館倉庫に向かう。
あの時、無理矢理にでも莉世を連れていけば良かった。
あれだけ怖がって、震えているって分かっていたのに、また傍にいてやれなかった。