モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。
「莉世っ!!!」
体育館倉庫へと着き、大声で名前を呼んだが、その姿は見当たらない。
どこだ?
一体どこに……
ドクドクと脈打つ心臓と、切れていた息を整えつつ、辺りを見渡すと、
「ーーーー」
莉世の声が、聞こえた気がした。
どこだ?
どこにいる?
「………中庭か!!」
ハッとして、また走り出す。
体育館倉庫から中庭はすぐそこだ。
中庭なら、ベンチもあるし、座れるところもある。
莉世と天野のは、そこに………
急いで向かえば、2人が向き合って話してる姿が目に入った。
くそっ!!やっぱり!!
「莉………」
一歩。
また一歩と、莉世に近づいた天野が許せなくて、離れろ!!と、莉世の名前を呼ぼうとした時。
なんで、だ……?
今にも出かかった声が、喉につまって出せなかった。
さっきまで動いていた足が、固まってしまった。
は………?
なんで、どうして?
目に入ってきた光景に、俺は瞬きすることさえも忘れていた。
なんで……
どうして、どうして……あんなに恐怖の目で見ていた天野と……
抱き合ってるんだよ……
そう。
──────俺が2人の間に入ろうとしたその瞬間。
2人はぎゅっと……離れないとばかりに、強く強く抱きしめ合った。