モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。

「伊吹く………」


天野を呼びかけた途中で、莉世の首がガクンっと下を向いた。


「!!?」


また、あれ……


あの雨の日以来、見ていなかったそれは、あの日の莉世と、重なって見えて。


今は泣いているわけでもないし、何かあったわけでもない。


……ただ、唐突に起きたそれ。


「今日はもう、バイバイか……」



どういう、意味だ……?


そんな意味深なことをつぶやき、莉世の髪をなでた後、同じ体勢のままの莉世を抱き上げた天野。


ハッとして、急いでその場に駆け寄った。


「莉世っ!!!」

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