モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。

黙ったまま天野を睨むと、ため息をついて俺を見た。


「お前が、莉世を苦しめてるって分かんないの?」


「は……?」


俺が、莉世を……苦しめてる?


どういうことだ?


一瞬眉をひそめた俺に、天野は強く言い放つ。


「分かったら、莉世に近づくな。
それと、莉世は俺が送っていく」


それだけ言って俺を睨み返すと、莉世を抱き上げたまま、校舎へと戻って行った。


「…………」


何も言い返せず、その場に立ち尽くす俺。


頭から冷水をかけられたみたいに、動けない。


今までの俺の……莉世への、態度が、行動が、言葉が、莉世を苦しめていた?


俺が莉世に対してしていたことは、ぜんぶ、全部……莉世からして見れば、迷惑だった?


それに、莉世は天野と付き合っているのか……?


けど、だとしたら、初めて委員会があった日の放課後……莉世が、天野に怯えていたのは、なんでだ?


それに、さっきの莉世の……別人のように笑う姿は?

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