モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。
クソっ……
「全然、分かんねぇ……」
頭をフルに使って考えるけれど、
脳裏に浮かぶのは、天野と莉世が楽しそうに……俺が入る隙間もないくらい、笑い合っている姿だけ。
意味が、分からない。
何も、分からない。
天野との関係性ももちろんだけど、何より1番……大好きでたまらない莉世のことが。
あんなに好きで、一時も離れたくないと思っていたのに。
今は何も、理解できない。
異性で最も近い距離にいるのは自分だと思っていたはずなのに、今はそれが…果てしなく、遠い。
だけど今、ただ1つ言えることは……
「天野……、なんであんな苦しそうな顔なんて……」
莉世が気を失った後、そのままゆっくり髪を撫でていた天野。
その姿は、何かを押し殺すように、何かを我慢するように。
まるであの日、あの雨の日泣いていた、莉世の姿を見ているように。
──────苦しそうに、つらそうに、切なげに笑っていた。
空は、今にも雨が降りそうに厚い雨雲で覆われていて、暗い影を作っているようだった。