モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。

よくよく話をしてみると、莉世とは雰囲気も、表情も全然違う。


「俺は莉世のクラスメイトの、蒼井 宙」


「莉世の双子の姉の、霧雨 莉香(リカ)です!妹がいつも、お世話になってます」


クールな莉世とは違う。


キラキラ眩しいくらい、ニコニコ笑う莉香ちゃん。

手振りが大きくて、表情も豊かで、まるで正反対。


なんか、昨日の莉世を見てるみたいだな……

天野といた時の、あの姿のようで。


でもあれは、莉香ちゃんじゃなくて、正真正銘の莉世だ。


天野とのいい雰囲気にまた落ち込みそうになったけど、それをかき消すように首を振る。


「蒼井くん?どうかした?」


「い、いや……なんでもない」



大丈夫?と言わんばかりに、心配そうに、顔を覗き込んでくる莉香ちゃん。


莉世だったら、絶対……


「なに、落ち込んでんの?
気持ち悪い」


なんて、言いそうだな。


いや……

でも優しい莉世のことだし、もしかしたら、


「話くらい、聞いてあげてもいいけど」


ふいっと横を向いて、そう言うかもな。


で、顔も耳まで真っ赤。


うん、絶対ありうる。



思わず、強気で素直じゃない莉世を思い出してしまう。


莉世の照れた姿って、誰にも見せたくないくらい、独り占めしたいってくらい、破壊力やばいんだよな……


……真面目な話、マジで押し倒したくなるくらいには。


ほんっと、可愛いんだよなぁ……


莉世といると、理性が崩れそうになるのなんて、日常茶飯事。


どんだけ莉世に惚れてんだよって自分でも引くくらい。


けど、そんな可愛い姿を、もっともっと見たいと、自分で自分の首を絞める、重症な俺。



にしても、ほんと真逆だな……


ふっと笑って、改めて莉香ちゃんを見る。

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