モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。
え、スパダリってなに?
初めて聞いたんだけど……その言葉。
盛り上がってるところ悪いけど、話してる内容が全く分からない。
「あのさ何話してるのか知らないけど、早く学校出ようよ」
もう18時も近いし……
早く行かないと、時間に間に合わない。
「あっ、そうだったごめんごめん」
「大好きな莉世のことになると、つい色んなこと話したくなっちゃってさ」
うん、今の蒼井の台詞は聞かなかったことにしよう。
チラリと何か言いたげにこっちを見てきた蒼井をスルーし、カバンを持ってさっさと教室を出る私。
「ちょっ、莉世!!
待てって!!」
「莉世、置いてかないで!!」
「早く行くよ」
急にアワアワとし始めた2人に、廊下で1人、糸が切れたように、はーっと息をつく。
大好きなって………
さっきの蒼井の言葉を思い出し、胸に手を当てれば、心臓がとてつもなく速く動いている。
そんな簡単に口に出来るような言葉じゃないでしょ、普通……
こっちは蒼井がそう言う度に、内心ドキッとしてるっていうのに。
あんたはそれが平気なの?
最近は、蒼井からのそういった言葉は、もはや挨拶だと思って流すようにしてる。
だっていちいち反応してたら、またからかわれるに決まってるし。
私ばっかり振り回されてる感じが、ムカつくし。
けど内心は、心臓が大変なことになってるから、バレないように冷静な表情を装うのが大変だけど……