モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。

「俺さ、星好きなんだよ」


つられて私も空を見上げると、真っ暗な闇の中でもキラキラと輝き、光を放ついくつもの星。


今日は1日晴れだったから、とてもきれい。


「そう、なの?」


「うん」

蒼井は私に歩くペースを合わせながら、ゆっくり歩く。


優しい、な……


さっきもだけど、いつもチャラチャラしてるのに、こうやってふとした時の優しさが蒼井にはある。


こういうところ見せられると、不覚にもドキッとしてしまう。

「俺……名前が蒼井、宙じゃん。言い換えれば、“ 青い空 ”」


「言われてみれば、そうだね……」


いつも誰かと一緒に笑ってて、太陽のようにまぶしくて、お日様のようにあったかい人。


イラッとすることはあるけれど、本当は蒼井が隣にいると、安心できて、元気をもらえるんだ。

まさに、蒼井のためにあるような名前だと思う。


「蒼井はたまたまだったらしいけど、生まれた日が青空が広がる、晴天だったんだってさ。それで親が、宙って名付けたって言ってた」


「そうなんだ……」


青空ってことは、太陽が出ている。


曇っていても、雨が降っていても、太陽の姿は見えない。


曇りも雨も、1日がどこかどんよりとしたものとなったり、雲が空を覆っていてどこか暗くて、不覚にも明るいとは言えない天気になる。


逆に言うなら、青空が広がっているからこそ、太陽が出ているんだ。


きっと蒼井の親御さんは、青空の下で輝く、太陽のように明るくて、いつも笑いが絶えない子になって欲しいって願ってつけたんだろうな……

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