モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。
「だからさ、逆に星空が好きなんだよ」
「逆、に?」
「そうそう。晴れて太陽が出ている時にしか、青空にはならない。逆に、夜は晴れてないと星は出ない。青空も星も、晴れつながりだから、星が好きなんだよ」
「なるほどね。
蒼井は、晴れが好きなんだね……」
蒼井に、ぴったりだもんね。
「そうだな。気持ちっていうか、テンションが上がるから、好きだな」
「うん、私も……」
雨の日は、私にとっていい事なんか、1つもない。
ただつらい記憶を思い出すだけの、嫌で苦しい1日に過ぎないから。
晴れている日だったら、まだそんなことを考えずに、少しは明るくいられるから。
「俺、待ってるから」
「え……?」
歩いていた足を止めて、蒼井はゆっくり私の方を向く。
辺りは真っ暗で、街灯も明るいとは言えないのに、不思議とその顔ははっきり見えて。
「何が莉世をそこまで追い詰めて、苦しめているのか。それを話してくれるのは、莉世の中で、気持ちの整理がついてからでいいから」
「あお、い……」
じっと見てくる目は真剣だけど、でもそれはやっぱりどこか優しくて、あたたかくて。
心にほんのり灯りが灯るように、ほっとする。
「あ、違う。ダメだな、俺……」
「え?」
「こんな言い方じゃ、急かすみたいな感じになるな……ごめん」
片手で髪をグシャっとして、言葉を探すように、ふいっと目線を逸らした後、もう一度私をじっと見つめた。
「莉世のペースで大丈夫ってこと」