モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。
私の、ペース……
「前にも言ったと思うけど、変に気使って、俺に過去のことを話そうとか、しなくていいから。莉世の中でもう大丈夫だって、話してもいいって思えたら……その時には、教えて欲しい」
「あお、い……」
中々前に進めない私のために、ずっと待っててくれてる。
いい加減、愛想をつかしてもいいくらい、私は何も話してないのに。
その優しさにまた、胸がぎゅうっと締め付けられる。
素直じゃなくて、いつも蒼井を突き放すようなことばっかり言ってしまう、無愛想な自分のために。
だったら……
だったら、私は……
街灯が夜道を照らす中、唇をぎゅっと噛み締めた後、蒼井をまっすぐ見据えた。
「もう少し……もう少しだけ、待って欲しい」
「うん」
「ちゃんと、蒼井には話したいと思ってるから」
この気持ちは、嘘じゃない。
私にまっすぐぶつかってきてくれたからこそ
。
周りから、一歩下がって見ていた私の心の厚い壁を乗り越えてきてくれたからこそ。
その気持ちに応えたい。
自分でも、本当は少しずつ…気づいてる。
その気持ちに応えたい理由。
過去のことを、蒼井に話したい理由。
その気持ちに気づいてるのに、ずっと気づかないフリをしている。
こんな自分が、幸せになっちゃいけないって。
許されないことをしてしまった自分が誰かと一緒になる権利なんかないって。
今も過去も、中学の時からずっと、私の中ではそうやって、時間が止まったままだった。