モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。
「へぇ、まさかそんな反応してくれるなんて。莉世は何を想像したの?」
ふっと笑って囁かれた言葉に、ぶわっと体全体が熱くなる。
へ、変に反応しちゃダメ。
ここはいつも通り、クールに、冷静に流すのよ、莉世。
「別に何の想像もしてないし。蒼井こそ、訳の分からないこと言わないでよね」
ツンと突き放すように言うけれど、蒼井はクスクス笑って、寧ろ笑いが抑えきれていない。
「ちょっと、何爆笑してるの?」
ムカつく!!
完全に楽しんでるじゃない、この状況!!
「色々あって疲れてるだろうから、大人しく帰ろうと思ってたけど…莉世があまりにも寂しそうな顔するから、嬉しすぎて抑えがきかねーの」
その言葉にカッと顔に熱が集まる。
「べ、別に寂しい顔なんて……っ」
「ふーん?
そんな真っ赤な顔しといて?」
「っ……」
事実、一瞬そう思ってしまった自分もいたけど!
物足りないなんてことも思っちゃったけども!
こ、これは、完全にやばいやつ……
「そんな莉世のご希望にお応えして、とびっきりのやつ、お願いしようかなー」
「と、とびっきりのやつ?」
いつもの蒼井のことだから、嫌な予感しかしない。
それはもう、とてつもなく。
いつもはそっけなく返す私の方が冷静だと思ってたけど、今は立場が完全に逆転。
完全に主導権を握られてる。
引き気味の私と、ニヤリと笑う男、蒼井。