モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。

「よく和栗と甘いの食べてるし、前にアップルティーあげた時も嬉しそうにしてたし」


首を傾げる私の頭に、ポンッと手が置かれる。


「それに、昨日打ち上げ行けなかっただろ?だからその代わりと言ったらあれだけど……」


と、頬を掻きながら、少し恥ずかしそうに蒼井は笑う。


そっか……

だから、このお店に……


スイーツバイキングなんて、男子があんまり好まなさそうな所を選んでくれたのも……


「っ……」


心臓が、トクントクンと優しい音をたてて、思わず口角が上がってしまうのが自分でも分かる。


「嬉しい……」


「え?」


気づいたら、ポロッと零れ落ちていた言葉。


私が喜ぶと思って連れてきてくれた。

全部、私のためを思って……


その優しさが、その気遣いが、言い表せないほど嬉しくて。


ほんの些細なことかもしれないけど、私が知らない間に、色々調べてくれたことが何よりも嬉しくて。


いつもは素直に言えない言葉も、今は自然と出てきてしまった。


「あ〜、もう……っ、だから反則だって」


「え?」


うめくような声に隣を見れば、頬がほんのり赤に染まる蒼井が。

< 209 / 318 >

この作品をシェア

pagetop