モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。

慌てて蒼井と距離を取りつつ、何度も首を振る。


「嘘。顔真っ赤じゃん。
熱、あるんじゃ……」


「な、ないから大丈夫!!」


もう一度伸ばしてこようとする蒼井の手を避けて、椅子の端っこに逃げる私。


「てか、嘘つきなのは蒼井の方でしょ?」


「ん?なにが?」


「心配とか言って、触ろうとしてたのがどこなのか、ちゃんと見てたんだからね、私」


「…………」


そう、今蒼井が手を伸ばしてきた先は、おでこではなくて……


「莉世があまりに可愛い顔で俺を見るもんだから、誘ってるのかと思って。つい、押し倒したくなった」


「…………」


え、ドン引きなんですけど……


てか、そんなキリッとした顔で言うことじゃないでしょ……


さっき触られそうになったの、完全に、鎖骨より下……


うん。

これ以上は言いたくない。


「………変態」


「いいんです〜。男はみんな、好きな子の前だったらいつでもそう思ってんの」


「あっそ……」


軽蔑のまなざしを向ける私に関わらず、蒼井はより一層ニヤニヤ笑って。



“ 好きな子 ”


改めてそれを意識したことがバレているのか、それからも始終こっちをニヤニヤしながら見ていた。


< 214 / 318 >

この作品をシェア

pagetop