モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。
慌てて蒼井と距離を取りつつ、何度も首を振る。
「嘘。顔真っ赤じゃん。
熱、あるんじゃ……」
「な、ないから大丈夫!!」
もう一度伸ばしてこようとする蒼井の手を避けて、椅子の端っこに逃げる私。
「てか、嘘つきなのは蒼井の方でしょ?」
「ん?なにが?」
「心配とか言って、触ろうとしてたのがどこなのか、ちゃんと見てたんだからね、私」
「…………」
そう、今蒼井が手を伸ばしてきた先は、おでこではなくて……
「莉世があまりに可愛い顔で俺を見るもんだから、誘ってるのかと思って。つい、押し倒したくなった」
「…………」
え、ドン引きなんですけど……
てか、そんなキリッとした顔で言うことじゃないでしょ……
さっき触られそうになったの、完全に、鎖骨より下……
うん。
これ以上は言いたくない。
「………変態」
「いいんです〜。男はみんな、好きな子の前だったらいつでもそう思ってんの」
「あっそ……」
軽蔑のまなざしを向ける私に関わらず、蒼井はより一層ニヤニヤ笑って。
“ 好きな子 ”
改めてそれを意識したことがバレているのか、それからも始終こっちをニヤニヤしながら見ていた。